2016年6月3日オランダ、アムステルダムの戦争資料館(NIOD)で、日本支配下でのオランダ人捕虜・抑留者に関するシンポジウムが開催され、POW研究会から笹本妙子事務局長をはじめとする4名の会員が参加しそれぞれ報告を行いました。また翌4日にはユトレヒトで「日蘭インドネシア対話の会」が開催され、上記4名が参加し、笹本が自身の捕虜問題との関わりについて発表しました。
アジア太平洋戦争中に、蘭印(現インドネシア)ではオランダ軍将兵約3万7000人が捕虜になり、また在住するオランダ民間人約10万人が日本軍によって抑留され、悲惨な生活を送りました。戦後は捕虜収容所や抑留所から解放されたものの、インドネシア独立のため本国へ引き揚げざるをえず、戦後の暮らしもまた困難が伴いました。そのため表面上は友好的に見えても、オランダ人の対日感情は決して良いものばかりではありません。一方日本人にとってのオランダは、鎖国の時代に唯一西洋文化を伝えてくれた国であり、風車とチューリップの美しい国です。インドネシアでオランダ人を抑留したことも、またアジア太平洋戦争でオランダを敵国として戦ったことすら知らない、という人がほとんどではないでしょうか。
私たちは、この戦争に対する両国の認識のギャップを、お互いの知識や経験を交流することによって乗り越え、互いに理解をしあうことが大切ではないかと思っています。今回のオランダにおけるシンポジウムと対話の会参加は、その意味で重要なものでした。またオランダ在住のPOW研究会会員と交流し、昨年の長崎市における福岡捕虜収容所第2分所の記念碑除幕式で出会ったオランダの方々と再会する機会ともなりました。オランダの資料館や博物館では捕虜や民間人抑留者の沢山の資料と接することが出来ました。
この有意義なオランダ訪問について、詳しい報告は以下のPDFからご覧ください。
なおNIODでの4名の報告や、対話の会での笹本の講演は、後日このHPに掲載する予定です。